曳鍋って何?

ちょっと仕事の話から離れましょうかね。

近所に古い居酒屋風の建物があるんですが、

もう店自体はやっている様子もない。

ただ、傍に“曳鍋”とあり、

一体どんな鍋を振舞っていたのだろうと気になり、

“曳鍋”で調べてみたことがある。

合致するものは全く出てこないが、曳きずり鍋のことで、

すき焼きのようなものだろうと一人納得していました。


そんな懐かしい飲食店跡があるよ!

とブログに書こうと店の前で写メっていたところ、

「何撮ってるの?」とおばさまの声を掛けられる。

怪しい人に思われたんでしょうね。


「いや、この曳鍋って珍しいなと思って。ここって食べ物屋さんだったんですよね」

「ああ、これは曳家の鍋二郎さんのことよ。うちも昔曳いてもらったの」


曳家?曳いてもらった?何のことだろう。

と思っている間に、おばさまはこの家の人を紹介すると呼び鈴を押し、

アレヨアレヨと言う間に話を聞くことに(笑)。

中から出てきたのは、“鍋二郎”さんの娘さん。65歳くらいだろうか。


そこから10分くらい話したのだが、

曳家と言うのは建物を壊さずに移動させる技術集団らしく、

昔はかなり繁盛していたようだ。


この曳家さんは環七通りの近くにあり、

道路を拡張させる際にはかなりの家を曳いたのだという。

私に声を掛けてきたおばさまの家は場所はそのままに、

家の角度を変えてもらったのだという。

かつて曳家は名の通った職業で、“曳鍋”は屋号だったのだろう。

wikipediaでも曳家は載っていて、


江戸(関東)においては、丸太ではなく濡らし滑りやすくした割竹を用いていたという。江戸時代に入ると、重量物の運搬を担う算段師という職業が登場し、明治時代にこの算段師の集団から曳家の集団に移行したグループもあるという。近代化する日本において曳家の需要は高まり、 特に戦後の復興期に最盛期を迎えたという。引用 – Wikipedia


とある。昔はかなりの曳家さんがいたのだろう。

どれだけ残っているか調べていたら、なんと協会があった。

日本曳家協会

少なくなってもニーズはまだあるようだ。


こんなマイナーな話は誰も興味がないだろうと思って

年末年始のバタバタにかまけて放っていたら、

2月3日の直撃LIVE グッディ!で曳家を取り上げていてちょっと驚いたり。


犬も歩けば棒に当たるじゃないけど、

近所をふらっとして出会った『何だろう?』が

調べて見るとかなり凄いものだったりすることもある。

また面白いものを見つけたら書こうかなと思います。




コピーライター YUKI の仕事場

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